ラーメン一般

ラーメン 系統

ラーメンの系統には家系、二郎系、東池袋大勝軒系、永福大勝軒系、がんこ系などがある

ラーメンマニア同士ならば「ラーメン●●●って何系だっけ?」といった会話をしがちだと思いますが、傍で聞いているラーメンマニア以外の方がラーメンの系統の話を聞いても何を言っているんだか、全くわからないケースもあると思います。
そこで、ラーメンマニア以外の方にもわかりやすく「ラーメンの系統」を解説します。

家系


出典:横浜家系ラーメンおすすめ人気ランキング厳選10

家系の特徴

横浜の吉村家を総本家として、そこから派生した店が家系(いえけい)と呼ばれています。家系というだけあって、やっぱり○○家という名前の店が多い状況ですね。
家系のラーメンは、【濃厚な豚骨醤油スープ】【うどん並みの太麺】【大きなチャーシュー】【ほうれん草&巨大な海苔】が乗るのが基本構成になっています。

家系ラーメンの特徴1
注文時に細かいリクエストができる

家系ラーメンは「麺の硬さ柔らかさ」、「脂の量」、「醤油味の濃さ薄さ」をカスタマイズできるシステムが魅力です。しかも、注文時にリクエストできるところがポイントです。
家系の店員は、注文タイミングの一人一人のリクエスト内容を麺を茹でてから具を盛り付けるまで全て覚えておく必要があり、相当な技量が必要です。普通のラーメン店では難しいオペレーションになるのでやりません。
例えば、二郎系では、「麺は茹でる前」、「トッピンッグは盛り付ける直前」という2回のタイミングに分けてカスタマイズを受け付けます。
普通に考えれば、ラーメン製作工程ごとに客のリクエストを確認した方が間違いが減る確実なオペレーションになるわけですが、家系の場合、注文時に細かいリクエストまで受けきる漢気が一種の魅力にもなっています。

家系ラーメンの特徴2
ラーメンショップからの長い歴史がある

家系のとんこつ醤油ラーメンには、ルーツとなったラーメンショップからの長い歴史があります。
1970年代から1990年代にチェーン店「ラーメンショップ」が日本全国に店舗を展開していました。赤い看板に白い文字でラーメンショップと書かれている店ですね。


出典:wikipediaラーメンショップ

今でもラーメンショップはかなりの店数があります。本部から豚骨醤油の作り方と麺・タレ・丼などが提供されますが、メニュー、スープの濃度、味、麺の量など、細かい規則や加盟条件などは、謎に包まれているチェーン店です。「東京豚骨ラーメン」や「ラーショ」とも呼ばれています。
家系の元祖「吉村家」創業者の吉村実氏はラーメンショップの出身といわれ、家系のルーツはラーメンショップにあるのはほぼ確実だと思われます。

家系ラーメンの特徴3
「かけい」ではなく「いえけい」と読む

家系ラーメンの家計は、[かけい]とか[やけい]ではなく[いえけい]と呼ばれています。「吉村家」系列のラーメンだから「家系」という漢字になるのは誰もが納得できますが、呼ばれ方の由来はイマイチ不明な部分があります。本来なら「吉村家=よしむらや」と読むわけですから[やけい]と呼ぶのが正しいはずです。しかし、[やけい]ラーメンでは何かしっくりきません。夜景、夜警などをイメージしてしまうため[いえけい]と呼ぶようになったという説もあります。確かに[いえけい]ならば誰もが「家系」という漢字が思い浮かぶので、一理はある説だと思いますね。

家系ラーメンの特徴4
大資本のFC店が拡大している

横浜家系ラーメンは、大資本外食系企業のフランチャイズチェーン店が拡大しています。2000年ごろから「横浜家系ラーメン」や「〇〇家」という店名なのに、吉村家やその系列店の流れを受け継いでいない大手外食系企業によって運営されている家系ラーメン店が全国各地に広がっているのです。赤い看板に大きな文字で「横浜家系ラーメン」と書いてある店を目にするケースも増えてきていますよね? 家系ルーツである神奈川県には根強く横浜家系ラーメンの老舗が残っていますが、都内、さらに地方にいたっては、ほとんどが大手外食系企業によるフランチャイズチェーン店になっています。
家系ラーメンは淡麗系のラーメンとは違い、専用工場で作った大量のスープをチェーン店に配送するスタイルでも、それなりに劣化しない味になるので、フランチャイズにしやすいのです。

二郎系


出典:ロケットニュース24

二郎系の特徴

ラーメン二郎の系統です。1968年、ラーメン二郎三田本店の店主である山田拓美さんが創業したのが起源です。今では正統派の二郎以外に、二郎の味をマネしたインスパイア(二郎に似ているラーメンを出す店)もかなりの店数があり、このインスパイアまで含めると二郎系はラーメン界の一大勢力になっています。
二郎系のラーメンは【脂っこく味付けの濃い豚骨醤油スープ】【小麦粉オーションを使った極太麺】に、具として【大量の野菜(ヤサイ)】【豚(巨大なバラ肉チャーシュー)】を乗せたものが基本構成になっています。

二郎のラーメンの特徴1
ボリューム抜群!

二郎のラーメンの最大の特徴は、ボリュームが半端なく多いという点だと思います。
小という麺の量が少なめのメニューでさえも、通常のラーメン店の大盛りの1.5~2倍ぐらいの量があります。また、トッピングも、通常のラーメン店とは比較にならないほど量が多く、野菜(ヤサイ)がてんこ盛です。
さらに、具の豚(チャ-シュー)も大量に乗りますので、とにかく量が多いという点に異論をはさむ方はいないと思います。

二郎のラーメンの特徴2
トッピングがカスタマイズできる

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出典:食べログ

二郎系のラーメンの特徴の2点目としては、具(トッピング)が自由に調整できるという点があげられます。
ほとんどの店で、アブラ(豚の脂身)、ニンニク、ヤサイについて、増量(マシ)、減量(少な目)が、細かくリクエストできます。これも二郎系ならではの見逃せない特徴になっています。トッピングの具体的な注文方法もこのページで詳しくまとめているので、ご覧いただけますと幸いです。

二郎のラーメンの特徴3
ジロリアンがいる

二郎はとにかく個性が強いラーメンなので、「二郎系? あんなのはラーメンじゃない。とにかく量が多くて濃い味で品がない食べ物だ!」と批判する人も見かけますが、「脂っこさ+濃い味+大量の麺」という構成には中毒性があり、熱狂的なファンが多いのも事実です。
これらの熱狂的な二郎ファンはジロリアンと呼ばれています。
ジロリアンは二郎の信奉者なので、二郎の店主に迷惑をかけないための自主ルールまで作っています。ジロリアンがいるということも二郎系ならではの大きな特徴だと言えます。

二郎のラーメンの特徴4
インスパイアが多い

実は、ラーメン二郎という屋号が名乗れる店舗は【直系店舗】だけです。直系店舗とは、本店からの暖簾分け店や、暖簾分け店の弟子による店で、言わば二郎の正統ということになります。
この直系店舗以外の店はラーメン二郎という屋号が使えません。
さらに、直系店舗は、二郎正統の味を出すため、必ずFZ醤油という二郎専用タレを使っています。
直系店舗ではFZ醤油を使っているため、スープの根幹に均一性があります。
さらに、直系店舗の麺は、本店でも使っている小麦粉オーションを使うので二郎本店と近い麺が出せていると思います。
一方、ラーメン二郎の【インスパイア】は、単純に言えば二郎をマネしたラーメンを出している店ということです。しかも、インスパイアのラーメンでは、タレにFZ醤油が使えないので、いい意味でも悪い意味でもやりたい放題で、味には結構なバラツキがありますね。
しかし、ラーメン二郎の影響を受けたインスパイアは日本全国に広まっていて、その中には蓮爾のように【直系店舗】のような高い評価を得ている店もあるので、一概に【インスパイア】だから劣悪な味のラーメンだとは言い切れません。

東池袋大勝軒系

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出典:twitter.com/susuru_tv

東池袋大勝軒系の特徴

山岸一雄さんが発案したもりそば(つけめん)を主力とする系統と言っていいでしょう。もちもちとした太麺と酸味、辛味、甘味が程よく利いたバランスの良いつけ汁が特徴。東池袋の大勝軒と、そこから独立・暖簾分けした店を指すことが多いのですが、山岸さんの師匠格の代々木上原大勝軒系、中野大勝軒系の系統も含めることもあります。

東池袋大勝軒系ラーメンの特徴1
つけ麺を発明した元祖である

1955年東京都中野市の「大勝軒」にて、後に「東池袋大勝軒」の店主となり「ラーメンの神様」と呼ばれた山岸一雄氏によって、つけ麺が誕生します。
ゆでた麺を冷水で締め、別皿の熱いスープに一口ずつつけて食べるものを「特製もりそば」、冷水で締めた後に温めた麺を「あつもり」として提供しました。

東池袋大勝軒系ラーメンの特徴2
弟子の店が多い

つけ麺(もりそば)の生みの親である山岸さんの「東池袋大勝軒」出身の弟子が展開するお店はかなりの数があります。山岸さんは自分の店で短期間でも修行した人には気前よくのれん分けを認めてきた方なので、数が多いのです。山岸さんはお子さまがいらっしゃらなかったので、自分の店の暖簾を後世に残したかったのかもしれません。
チェーン店ではないのに、ここまで店が多いのは東池袋大勝軒系ならではの特徴です。

東池袋大勝軒系ラーメンの特徴3
東京ラーメンの中でも歴史が長い

東池袋大勝軒の大元を遡(さかのぼ)れば、荻窪の丸長に辿り着きます。戦後、長野から蕎麦が打てる職人集団が上京されてきて、蕎麦の技術を活かしたラーメン店を始められたのがルーツです。
丸長の長は長野の長ですし、丸信の信は信州の信です。佐久信の信はもちろん佐久は長野の地名です。

蕎麦どころ長野から東京(荻窪)に出てきた親戚同士がそれぞれ店をオープンして、長野県の「長」を取って丸長と名付け、もう1人は信州の「信」を取って丸信と名付けたりして、大勝軒もその流れにあります。もちろん
山岸さんも信州の出身です。だからこそ、蕎麦のように麺をつけて食べる方が主流のやり方をラーメンに応用できたのではないでしょうか?

永福町大勝軒系


出典:食べログ

永福町大勝軒系の特徴

永福町大勝軒のラーメンは、特大丼に【中太で280gの大盛り中華麺】と【大量の煮干し風味のスープ】がなみなみと注がれていて、魚介風味が際立つ醤油ラーメンです。【チャーシュー】は小さいのですが味はいいものです。

永福町大勝軒系ラーメンの特徴1
昭和30年の創業。長い歴史がある

永福町大勝軒(総本山)の創業は昭和30年です。かなり長い歴史がありますね。この総本山の味を受け継ぐ弟子の店が、永福町大勝軒系のラーメンを提供しています。麺はボリュームが抜群、その分、お値段も高めなのが永福大勝軒系のポイントです。

永福町大勝軒系ラーメンの特徴2
煮干しラーメンの草分けの1つ

永福町大勝軒スープは煮干が主役。煮干しを中心にカツオ節など、魚介系のダシを使ったコクのある醤油スープがポイント。東京で煮干しを主役にしたラーメンの開拓者は、銀座の共楽と永福町の大勝軒であると思われます。

今の永福町大勝軒は、以前よりはダシで使う煮干しの比率が落ちて、魚介系ダシをまんべんなく使うスープに変わってきています。それでも、基本的には煮干の風味が強く、激熱のラードが幕をはるスープと、大盛の麺のバランスは抜群で美味いものです。

永福町大勝軒系ラーメンの特徴3
麺は草村商店のもののみ使用できる

永福町大勝軒系の店では、麺については永福町大勝軒の実家でもある製麺所の草村商店から仕入れていることが掟になっています。草村商店からの仕入れを止めると、大勝軒の看板が使えなくなる契約になっているようです。この麺は古いの中加水タイプですが、だからこそ他の製麺所では手に入りにくくなっているかもしれません。

以下の系統の記事は製作中です。徐々に加筆していきます。

●がんこ系
がんこ創始者で家元と呼ばれる一条安雪さんが牛骨でスープをとった塩ラーメンがルーツの系統。
ラーメンの構成は、塩分濃度が高いスープとほろほろに柔らかいチャーシュー、細麺というスタイルです。
がんこ系では、牛骨を使わないスープも限定で出されます。限定が看板メニューの1つになっているのもがんこ系のポイントですね。
一条安雪さんは大行列店の運営が面倒ということで店が流行ると弟子に店を譲って、自分は新しい場所でがんこラーメン店を開くことを繰り返すうちにがんこラーメンの系統になっていったというエピソードがあります。
店の外観は真っ黒なので知らなければ何の店なのかはわからない状態です。そのため店の前にぶら下がった牛骨が開店している目印になっています。
がんこ系ラーメンはマニア向けで取っ付きにくいイメージがありますが、創始者の一条安雪さんの気さくな人柄で人気があります。

●たんたん亭系
浜田山の老舗たんたん亭と、その味を受け継ぐ弟子の店などの系列。弟子では池尻大橋の八雲が最も有名。八雲は本家のたんたん亭以上に食べログ等のランキングでも、口コミでも上位にある。それでも、本家のたんたん亭のスッキリしながらも魚介の風味が強いラーメンは今でもバリバリの現役。昭和の時代に開業したラーメンで、今でも現役の名店として、味のレベルが高いままなのは、たんたん亭と二郎三田本店ぐらいのものだろう。
スッキリとした支那そば系のスープとワンタン、プリプリのモモチャーシューが特徴。
スープは動物系と魚介系の旨味を凝縮した醤油味の「支那そば」で細縮れ麺。具材のチャーシューは焼豚(煮豚ではない)、餡がたっぷり入った肉ワンタン、プリプリの海老入りのエビワンタン。メンマ、海苔、ネギ。

●麺屋こうじグループ
こうじ店主である田代浩二さんが率いる一大勢力です。千葉、埼玉、群馬を中心に濃厚つけ麺系と二郎インスパイア系、淡麗系などを展開。都内の店舗は実力店が多い。2015年以降の食べログのランキングでの上位占有率は麺屋こうじグループが圧倒していますね。ただし、それぞれの店がそれぞれ独自の味のラーメンを出すので●●系の味とは言い難いです。

●背脂チャッチャ系
豚骨醤油スープにその名のとおり背脂をチャッチャと大量に振りかける豪快なラーメン。千駄ヶ谷のホープ軒がルーツとされておりその流れを汲む店が多いです。
スープにコクを出すために煮込まれた豚の背脂をスープに入れるのが最大の特徴。網で背脂をチャッチャッと振りかける動作から、チャッチャ系という用語が使われるようになりました。
背脂入り豚骨醤油スープ。麺は縮れ細麺。具材はチャーシュー、もやし、海苔、刻みネギ。
ホープ軒は、九州の豚骨ラーメンとは違った東京豚骨醤油ラーメンを確立した先駆けの店とも言えます。

青葉(インスパイア)系
豚骨・鶏ガラの動物系スープと魚介スープのいわゆるWスープを世間に知らしめた有名店。本店は中野にあります。その味に影響を受けたであろう店は「青葉インスパイア系」と呼ばれています。青葉そのものも支店を多く出しています。

中村屋系
天才としかいいようがない中村栄利氏が店主の高座渋谷の「中村屋」と兄の店AFURIの系統。アッサリとしながらもコクがある魚介の風味が利いた味が特徴。天空落しという湯切りスタイルを発明した店としても有名です。

ラーメン原価率

ラーメンの原価率はどれぐらいなのか? 何%なのか?

ラーメン屋の原価率は平均どれくらいのものなのか? ラーメン店の開業希望者はもちろん、
ラーメン食べ歩きのマニアもラーメンの原価はやっぱり気になるものですよね?
もちろん、個々のラーメン屋さんによって原価率は違うので、あくまで平均数字しか出ていないのですが、
ラーメンの原価率は30%~37%程度という店が多いようです。
わかりやすく言えば1,000円のラーメンならば、原価は300~370円ぐらいかかっているということになります。

以下の醤油、味噌、豚骨といったラーメン種類別の原価率が書かれている図表をご覧ください。


出典:ラーメン屋さんが替え玉無料にするメリットを調べてみた

ラーメンの主役と言えるのは麺なのですが、実は麺には最も原価がかかっていません。むしろ脇役である具の方が原価がかかっていることがわかりますね。実は具はラーメンの中でも高額なものなのです。
そのため、かなり具が多い札幌味噌ラーメンは原価率が高く、具よりもスープを重視する博多豚骨ラーメンは原価率そのものは低いということがわかります。
ただし、豚骨ラーメンはスープを仕込む調理時間が非常に長くかかるので、ラーメン全体では最も高コストになる要因である人件費が多くかかってしまい、ラーメン経営のコスト全体で考えればむしろ割高なラーメンです。

では、なぜ、麺の原価率は低いのか? 麺にコストがかからない理由は素材の小麦粉に尽きます。そもそも小麦は米以上に安い穀物なのです。
国産小麦を使用したラーメンの麺も多くなりましたが、それでも日本で消費される小麦粉の約90%は外国の小麦が使われています。
実際、約50%がアメリカ産、30%がカナダ産、20%がオーストラリア産という内訳になっています。

どうしても日本の農業の場合は、土地が狭く小規模農家が多いので、農作物のコストが高くついてしまいます。
一方、外国の農業は広い土地を生かした大規模農家が多く、その上で機械化まで徹底されているので、日本よりも作物のコストが安くなる仕組みになっているのです。
そのため、小麦粉の原価は安く、小麦粉から作られる麺の原価率も高くならない仕組みになっているわけなんですね。

一方、具材は原価が下げにくいので、原価率を押し上げる原因になっています。
特に最も原価がかかる具はチャーシューですね。やっぱり肉は原価が高いものなんです。

それでもチャーシューが入っていないラーメン店だと客はガッカリしますよね。
逆にチャーシューが多いラーメン店は人気です。
二郎の人気の秘密の1つにはチャーシューが大きくてジューシーなことも重要な要因になっていると思います。

そこで、最近のラーメン店では、チャーシューの原価を抑えるため、
生ハムのように薄くスライスしたレアチャーシューを使うケースが増えていますね。
あれだけ薄ければ、肉の原価がかなり抑えられます。それなのに上品な印象まであります。
今、レアチャーシューはラーメン店にとっては原価率を下げる決定打になっていると思いますね。

このレアチャーシューを最初にラーメンに載せたのは、新小岩の一燈、または、東十条のほん田という説がありますが真偽は不明です。

また、ラーメン店は他の飲食店以上に、原価よりも、人件費がかかる業態なんです。
炊いてあるご飯を出すだけなら楽で1人でも切り盛りできますが、麺をきっちり時間を計って茹でるのはかなりの手間。ワンオペでは難しい業態なんですよね。

ラーメン原価厨とは?

ラーメンには限りませんが、原価厨とは、製品やサービスをお金と引き換える際、
「その製品・サービスの価格に対して原価がいくらかかっているのか?」という情報に異常と思えるほど関心が強く、
原価と価格の乖離度が大きい場合は事業者への非難まで行う人という定義になっています。
まあ、ネタですが、ラーメンの原価を巡る原価厨を揶揄する小話があるので紹介しておきます。

原価厨「原価300円のラーメンが1000円なのはおかしいんじゃないか?」
飲食店「その700円の中に経費が含まれているんですよ、具が多いチャーシュー麺ですしね」
原価厨「俺は経費じゃなくラーメンを食いにきたんだよ!とにかく原価の300円しか出さないぞ!」
飲食店「分かりましたよ、それなら原価でちゃんと払ってくださいね」
原価厨「ほらよ」といって500円玉を出す
飲食店「・・・」
原価厨「おい、お釣りは?」
飲食店「はあ? 全然足りないですよ???」
原価厨「なに言ってんだ、自分で原価でいいって言ったじゃないか! 嘘つきか?」
飲食店「500円硬貨の原価って知ってます? 実は30円なので、さらに9枚が必要なんですよね」
原価厨「待て待て、それなら、これでどうだ?」と言って1000円札を店主に出そうとする・・・
飲食店「1000円札の原価は15円です。それだと、あと19枚分が必要になりますよね」
原価厨「待て待て、それなら銀行に行って崩してきて1円玉で払ってやる。1円なら原価は1円以上だからな。」
飲食店「残念! 店は20枚以上の硬貨払いは受取を拒否できる権利があるんです。1円玉じゃ受け取れませんよ」
原価厨「ゴメンナサイ、普通に1000円払います」
飲食店「ダメです、自分で言い出したんだから原価で払ってくださいね!」

ラーメン アレ系

アレ系とはビジュアルが美味しくなさそうに見えて実際に食べても不味いラーメンのこと

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出典:麺処 韋駄天のブログ

アレ系のアレとは代名詞のこと

アレ系のアレは、比較的、自分から遠くにあるものを示すときに使います。
ひらがなで使う際は、「あれが○○です」「あれは大変だった」のように普通に使われますが、
カタカナで使う際は、「アレは大変だよ」「アレだよ、アレ、困るヤツ」といったように否定的に使われるケースが多いようです。

名称を公にせず隠語としてアレと呼ぶ場合もあります。
「自分の部屋のPCでアレ系なサイトを見ていたらノックなしで母が突然入ってきて画面を見られてしまった・・・」という感じで、アレは隠語の代名詞としてもよく使われますね。

否定的な表現、隠語的な表現としてハッキリ言わないのが日本的な美徳というか、奥ゆかしさというか、アレといっても奥深いものがあると思います。

いずれにしても「あいつはアレだしなあ・・・」などと使う場合、多くは具合が悪いヒトやモノに対して、言葉にしづらい場合に使われることが多いものです。
アレ系ラーメン=不味いラーメンと覚えておいて損はありません。

アレ系ラーメンの頂点と言えば彦龍(現在は店主死亡につき閉店)

日本一まずいラーメン屋として、アレ系では最も有名だったのが彦龍です。

彦龍は日本一まずいことを最大のウリにしていた奇特なラーメン屋さんです。1989年から2010年1月31日まで、東京都文京区の千駄木で営業。TVなどのマスコミに何回も紹介されていました。世界の北野武さんも食した伝説の不味さです。不味さも日本一ともなれば、かなり話題になるということですね。

ここの店主は、生前、ラーメンのイベントで無料配布された試作品スープを大量に持ち帰った疑惑があります。
また、気分次第で店を逃げ出してパチンコ店や遊園地で丸一日も潰していたことがあるという伝説も有名。営業日に行っても予告なく閉店しているという凄まじい営業方針です。

最初は、ダウンタウンのマネージャーが偶然にも入店してしまった際、あまりにもまずかったため、『ダウンタウンのごっつええ感じ』に出演したのがブレイクのキッカケと言われますが、番組の話題づくりのため、マネージャーが計画的に取材したと考える方が自然な気もしますけどね。

とにかく『ダウンタウンのごっつええ感じ』で紹介されると、テレビの威力は大きいもので、怖いもの見たさで大繁盛したようです。連日行列ができるほどの人気で『タケシムケン』や『アッコにおまかせ!』にも登場。店主の原憲彦さんは、まるでタレントのように有名(悪名?)になりました。
実際、自分のブログでは歯に衣を着せぬ言動で、堂本剛をはじめ芸能人に対して強引な批判をしていたようです。

PP

ラーメン用語のPPとはポールポジションの略で開店前の行列待ちで一番乗りした状態のこと

PPとは?

PPとはポールポジションを意味します。ポールポジションとは、もともとF1等のレースで使われる用語で、レース予選で最もタイムが速かったドライバーが先頭でスタートできる位置を確保したときに使われる言葉です。


出典:F1ドイツGP決勝

そこから転じて、ラーメンの世界では、ラーメン店の開店前から並んでいる列の先頭に立つことを意味します。特に行列ができやすい二郎などの人気店ではPP(ポールポジション)の価値が高いとされています。

開店前の状態で行列の先頭が取れればPPゲットと言えます!
出典:今日はどこに行く?

同じような場面で使われる言葉にシャッターというラーメン用語があります。
これは、まだシャッターが閉まっている開店前に、ラーメン店の行列に並ぶことを示す用語ですが、この用語には先頭という意味は含まれません。
あくまで、開店前の行列の先頭に並ぶことでPPという称号が得られるのです。

仮に、人気ラーメン店で行列がなくなったタイミングで、たまたま先頭に立てたとしてもPPとは言いません。単なる偶然で獲得した先頭であり、開店前から並んで先頭を獲得した勇者に与えられるPPとは全く重みが違います。

PPの使い方

「今日は二郎でシャッター、PPゲット!」という感じでTwitterやラーメンのブログで使うのが最も適切な使い方だと思われます。日常会話では滅多に使われません。一種の文語だと思います(笑)

シャッター

ラーメンでシャッターといえば開店前から行列に並んで待つこと

出典:ツイナビ【話題まとめ】札幌ラーメンの進化がヤバすぎ

ラーメン店でのシャッターって、どういう意味?

ラーメンの人気店・有名店は連日のように行列ができるケースが多いものです。そういった行列店で、まだシャッターが閉まっている時間帯に到着して、開店されるまで店外で並んで待ち続けている状態のことをシャッターと呼んでいます。

ラーメン食べ歩きマニア同士の会話では「今日、久し振りに開店前からシャッターで並んだよ」とか「今、ちょうど店の前でシャッター中。開店するまでヒマだからスマホでゲームをやっている」といった形で使われます。

ただし、実際には、店のシャッターが完全に降りているケースもあれば、半開きになっているケースもあります。そもそもシャッターがなく準備中という説明札だけが下がっている店もあります。それでも、とにかく開店前から行列に並んでいればシャッターという言い方が適用されることになっています。

ポール・シャッターとは?

ポール・シャッターは、開店前からラーメン店の行列で先頭に並んで待っている人のことです。単純に、開店前から行列に並んでいるだけじゃなくて、先頭で待っていることがポール・シャッターの条件になります。この条件をクリアした一番乗りの勇者だけが、並み居るシャッターの中でも、ポール・シャッターという栄誉ある称号が得られます。

実は、F1等のレースで予選1位となり、ポールポジションを獲得したドライバーは、ポールシッターと呼ばれるのですが、ポール・シャッターはそのオマージュとして使われている用語だと思われます。

シャッターで並ぶメリットって?

ラーメンマニア以外の人は「混んでいる店でラーメンを食べるのに行列するのはわかるけど、何でわざわざ開店前から並ぶ必要があるの?」と思っていらしゃる方も多いようです。

でも、シャッターには実質のメリットもあるんですよね。

例えば、東京なら[べんてん]のように90分待ちの大行列ができるラーメン店の場合、60分前から並んで最初のロットで店内に入ることができれば、30分だけ行列に並ぶ時間が節約できます。

また、開店前からシャッターで並ぶと、店によっては15分ぐらい前に店内に入れてもらえて、寒くなく(暑くなく)ゆっくり待てるケースも稀にあります。あくまでレアケースですけどね。

もちろん、開店時に最初に店内に入れる優越感は普通に味わえますね。

逆シャッターとは?

逆シャッターとは、開店前の時間帯の逆、つまり、閉店後の時間帯に使われる用語です。
具体的には、、、、、
開店前の時間帯にラーメン店の行列に並ぶことがシャッターと呼ばれるのに対して、
閉店時間ギリギリで入店してラーメンの食事中にシャッターが閉まることを意味しています。

着丼

着丼とは店で注文したラーメンが自分の席に提供(到着)された状態のこと

最近、ラーメンファンのブログやグルメレビューのサイトで見かけるようになってきた着丼というキーワード。
もちろん、正式な日本語ではありませんが読む人には臨場感が伝わる用語ですね。特に、二郎のレビューでは着丼がブログ等に出てくる確率は高いと思います。

着丼の意味

もともとはラーメン店に限らず、飲食店でオーダーした料理が自分の席まで運ばれてきたことを意味する俗語が起源です。今ではラーメン店で使われるケースが圧倒的に多いのではないでしょうか?

洗面器のようなサイズの巨大なラーメンが着丼した瞬間
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出典:なんのことはないんですけどね

特に、食べログなどのグルメ専門Webサイトで頻繁に使われていますね。実際の文脈では「着丼した瞬間にドロドロさが伝わってくる超濃厚ラーメン。これは旨そう♪」といった感じで使われています。
着丼というキーワードは聞いただけでラーメンが目の前に来た!というイメージが沸いてくる言葉だったおかげで、ラーメンマニアの間でアッという間に広がり、今やラーメンのレビューでは常用句になったと思っています。

着丼「嫌い」「うざい」という声

着丼という言葉への評価が、ネットの掲示板や口コミサイト等に載っています。ラーメンマニアを嫌う人からの評価が多いせいか、どちらかというと「嫌い」「うざい」というトーンの悪評が多いですね。

食べログのラーメン店レビューでこの言葉が使われていると残念。うざい。(20代 アルバイト 女性)
レビューで着丼って書く人が多い店は行かない。マニアの巣窟っぽい。嫌い。(30代 飲食店員 男性)
語感からしてまずそう。こういう言葉を使う人は味がわからなそうですね。(40代 事務職 女性)

まあ、あくまでレビュアーの主観だけなので、気にしないでいいと思います(笑)
わかりやすくて、イメージしやすい言葉だからこそ、どんどん拡散していったわけですから
気にせず、レビューで使っていけばいいと思っています。

着丼というキーワードの次は?

着丼という表現はラーメンオタクのレビューでは今でもよく見かけますが、バッシングされるようになってきたせいもあるでしょうか? 最近では対麺という表現も見られるようになっています。こっちの方がよっぽどオタク度が強い気もしてしまいますが…。

でも、確かに着丼だと、カツ丼でも、親子丼でも、牛丼でも、うな丼でも、着丼という言葉が使えてしまうのがデメリットではあります。
その点、対麺ならば、ラーメン、蕎麦、うどん等の麺料理の丼が自分の席に到着したことがよくわかりますので、ラーメンには相応しい言葉なのかもしれません。

インスパイア ラーメン

インスパイアラーメンとは有名店に触発されて作られたラーメンのこと

ラーメンでインスパイアという場合、もともとはハイレベルな店の味に刺激を受けて、自分でも同様のラーメンのレシピを作って提供する店のことを言っていました。実際、英語のinspireには「~を動機付ける、~に刺激を与える」という意味があります。
ただし、今では単純に有名店を真似したラーメンを出す店や、本家のラーメンを真似しただけのラーメン店も含めてインパイア店と呼ばれるようになってきています。さらに、ここ最近は、ラーメン二郎に限定してインスパイア ラーメンというキーワードが使われるケースも増えてきていますね。

二郎インスパイアとは?

ラーメン二郎に影響を受けたラーメン店は、本来は二郎インスパイア系・二郎インスパイア店と呼ぶのが正しいわけですが、今では二郎を省略して、単純にインスパイア系とかインスパイア店というだけで二郎のインスパイアラーメンを表すケースも目立ってきていますね。

二郎インスパイアの中でも評価の高い英二のラーメンラーメン英二
出典:timeoutラーメン英二

ラーメン二郎はボリュームもカロリーも激しく多く、ジロリアンと呼ばれるコアなマニアがたくさんいます。このような熱狂的マニアにとっては、ラーメンと言えば二郎なので、わざわざインスパイアという言葉に二郎を付けない表現が一般化してきたということなんでしょうね。

二郎インスパイアで高評価の店

ラーメン英二

二郎インスパイア系の中でもハイレベルな行列店。モチモチ極太麺と背脂多めの乳化スープを合わせたラーメンはありきたりの二郎インスパイアとは違うレベルで美味しい。

f:id:tsukemen0:20161012034042j:plain出典:ただ麺が食べたいだけなんだ

特に美味しいのは乳化するまで煮込まれた豚骨スープ。これに歯ごたえがある自家製太麺を合わせています。特筆すべきは豚(チャーシュー)。ジューシーで柔らかくて旨いもの。トッピングのアブラまで甘みがあって美味しいものです。厳選素材を丁寧に調理している高品質なラーメンで、二郎の中では1、2位を争う名店と言われるひばりが丘店と比べても遜色ないと思います。その上で、まぜそば等、二郎とは違ったメニューがあるのも嬉しいポイントです。メニューのバリーションがあるので通っても飽きにくいんですね。二郎インスパイアの名店だと思います。

千里眼

しっかりとニンニクを効かせながら二郎ならではのボリュームたっぷりのラーメンを出す名店。東大の駒場キャンパスの近くにあるため東大生がよく利用しています。


出典:食べログ

千里眼では、スープは豚骨を1週間も炊き続けたものに野菜をブレンドして仕上げたタイプ。麺は極太縮れ麺の自家製麺を使用。トッピングはモヤシ中心のヤサイ、豚(チャーシュー)、アブラ(背脂)は二郎に共通するものですが、千里眼オリジナルのトッピングが辛揚げ。読んで字のごとく唐辛子で味付けした揚げ玉です。辛く香ばしいのでラーメンの味変に効果的なトッピングです。
また、夏期限定メニューのボリュームたっぷり冷やし中華も大人気。この時期は冷やし中華めあての客で行列が長くなる傾向があると思います。

ラーメン燈郎

二郎インスパイアの中でも他を圧倒する美味しさ。食べログのラーメンで、長年全国1位だった麺屋一燈がプロデュースしているので「美味しい」としか言いようがないぐらいの高レベルです。


出典:カブラボ

もともと燈郎のラーメンは一燈の限定メニューが起源。豚骨をベースとした濃厚乳化スープに心の味食品の極太麺を合わせています。トッピングはヤサイ等で二郎の仕上がりになっています。
ここでは、二郎インスパイアの中でも珍しいカレー味のラーメンも選べますが、これがまた激旨。カレーラーメンの専門店ではありませんが、自分が今まで食べたカレーラーメンの中では間違いなく日本一だと思います。

ラーメン陸

丁寧に作られた料理としての完成度が高い二郎インスパイア。麺は270gで大盛の場合は360gで二郎らしいボリューム。ココはつけ麺があるのが嬉しいポイントです。二郎インスパイアのラーメンはどちらかと言えば麺と具を食べるラーメンなので、つけ麺は二郎インスパイアとしては無理がないと思います。


出典:とんちゃん日記

陸はとにかく豚(チャーシュー)が美味しい。丁寧に調理されています。厚みがありますが、丁寧に煮込まれているので柔らかく食べやすいのが嬉しい。スープも二郎系にありがちなカネシ醤油だけに頼ったタイプではなく、豚骨の旨みが上手に引き出されたタイプ。豚骨のコラーゲンが完全に乳化しているのでまろやかで濃厚で、でも、くどい感じが一切しない。恐らく化学調味料も使っていないんじゃないかと思われます。ちなみに、店名の陸という名前の由来は店長の子どものお名前だそうです。

蓮爾 登戸店

二郎インスパイアの草分け的な存在なのが蓮爾です。豚骨醤油スープに極太麺、ヤサイが十分に盛られた二郎テイストのラーメンが食べられます。

出典:食べログ

蓮爾は量は多めで食べごたえがあるインスパイアです。
とにかく麺がスゴイのです。厚みがある極太麺で、二郎より太い強力な麺です。極太で厚いので、一回に食べるのは数本で大丈夫ですね。歯ごたえが相当に強く、他のラーメンではなかなか味わえない麺の食感が特徴です。
豚(チャーシュー)は二郎系としては普通。小ぶりタイプが2個ぐらい入っています。柔らかくて二郎スタンダードな豚ですね。スープは、豚骨を煮込んだもので軽く乳化した醤油味です。タレは甘めでややジャンキー。
特筆すべき(?)は二郎より客に命令口調な接客。大行列店なので仕方ない部分がありますが、、。

二郎インスパイアはマニア客が始めたケースも

特に、面白いのは二郎インスパイアには個人店も多いということです。ラーメン二郎の本店や暖簾分けの店で修行した人が始めるケースもありますが、二郎で修行したことがない客だった人が始めるケースもあるようですね。二郎マニアが高じて、自分で二郎のようなラーメンを出す店を出したということですね。
このような店は、まさにラーメン二郎の精神に鼓舞されて誕生した店ですから、本来の意味でのインスパイア店ということになります。

いずれにしても、二郎インスパイヤ系と言われるお店が提供しているラーメンは、濃い醤油を使ったタレ、豚を煮込んだスープ、モヤシとキャベツ中心のヤサイ、巨大チャーシュー等が本家の二郎と共通している要素です。
本家を意識して改善するケースもありますが、「病みつきになる二郎のようなラーメンを出してやろう」という意識が高い店が多いと思います。

単なるパクリはジロリアンの敵

二郎インスパイア店の中には、とりあえずカネシ醤油が強い塩分濃度が高いスープ、極太の大量麺、山盛りのヤサイ、巨大な豚(チャーシュー)、大量のギトギト背脂さえあれば、バランスが悪くてもOKといった商売優先店もあるかもしれません。こういった商売優先のインスパイア店には文句を言うジロリアンも多いようです。インスパイアとか言いながら実態はただのパクリとして、インスパイアを認めたくないマニアは、結構、多いのです。

まあ、ハッキリ言えば、二郎のレシピには特許はないので、コアなマニアが文句を言っているだけなのですが、ジロリアンとしては、マネされた上に美味しくないインスパイアが増えてしまうと、二郎ブランドに傷がつくと思っているのだと思います。実際、チェーン化されて大増殖している家系ラーメンなどは、そういう側面があると思いますので、そういう意味ではジロリアンの言い分も理解できますね。

朝ラー(朝ラーメン)

朝ラーは朝ラーメンの略。一部の地域で朝からラーメンを食べる習慣のこと。

朝ラーは朝ラーメンの略語で、静岡県の志太地域(藤枝市、焼津市、島田市)、福島県の喜多方市など、全国でも一部の地域のみに存在する朝からラーメンを食べる習慣のことを言います。通常は朝ラーと略されて使われます。

f:id:heyheybombom:20150801040203j:plain出典:「朝ラー」って何だ!? 藤枝に根付く早朝ラーメン文化がアツい!

朝ラーの本場は藤岡市と喜多方市

朝ラーこと朝ラーメンが食べられる地域としては、静岡県の志田地域と福島県の喜多方市が有名です。
どちらも古くからラーメン文化が根付いているラーメン好きな方が多い地域です。

朝ラーの聖地と呼ばれる志太地域

朝ラーの中でも聖地と呼ばれているのが静岡県の志太地域。この地域のラーメンは志太系ラーメンとも呼ばれています。志太地域の中でも藤枝市が草分けとして有名です。当初は、元祖の藤枝市でも朝ラーをやる店は数店だけだったそうですが、2008年ごろから藤枝市と隣接する焼津市、島田市でも朝ラーをやる店が増えてきて、いつのまにか地域全体の食文化になっていったようですね。今では、志太系ラーメンを提供する店舗は、2018年時点で約20店舗ぐらいあるようです。志太の中でも元祖の藤枝市の場合、ラーメンが全国で大きく普及する以前から朝ラーがあったそうで、何と戦前からの食文化だそうです。

志太地域では、どの店でも早朝から多くの客が訪れていますが、元祖の藤枝市内のラーメン店は、おおよそ午前7~8時から営業を始める店が多いのですが、なんと午前6時から営業を行っている店もあるようです。さらに、ほとんどの店はお昼過ぎには閉店してしまうということです。朝から夜まで営業してるラーメン店なのではなく、文字どおり朝のみ食べられるラーメン店というわけ。朝ラーに徹してるのですね。

では、なぜ、朝ラー文化が志太地域に根付いたのか? その背景は、この地域がいわゆる茶どころだったことにあります。新茶シーズンの4月頃から茶農家・茶問屋は、夜明け前の午前3~4時頃から仕事を始めて朝仕事を終えた後、朝食としてラーメンを食べる習慣が始まったそうです。今ではお茶の関係者だけでなく、サラリーマンが夜勤帰りに食べたり、朝食として食べてから出勤するというスタイルも定着してきたそうです。

その志太地域の中でも朝ラーメンの元祖とされているのが藤枝市のマルナカ(1919年創業)。ここが朝ラー発祥店です。


出典:マルナカのホームページ

そのため、志太地域の朝ラーでは、このマルナカの味が朝ラーのベースになっています。醤油ラーメンが多いのも、この地域の特徴になっています。志太系ではノーマルの温かいラーメンだけではなく、茹でた麺を水で締めて甘味の加わった冷たいスープの冷やしラーメンも提供されています。元祖のマルナカでは、温かいラーメンと冷やしラーメンをセットで食べる人も多いですね。上の写真もセットのもので紹介しています。

喜多方市の朝ラー

福島県の喜多方市にも朝からラーメンを食べる朝ラー文化が根付いています。喜多方ラーメンはさっぱりとした醤油ラーメンが多いので、朝ラーでも胃にもたれず心地よく食べられると思います。
今では静岡県の志太地域の朝ラーも有名になりましたが、昔は喜多方の朝ラーが最も有名でした。この地域でも「ラーメンは朝7時から食べるもの」と言われていて、朝ラーが食生活の中で根付いています。

福島TRIP出典:福島TRIP

写真は坂内食堂の朝ラーです。醤油ラーメンというよりは塩ラーメンに近いあっさりした淡麗スープで、朝ラーにはぴったりだと思います。中でも、シンプルな支那そばが朝ラーには最適ですね。ここはチャーシューが美味しいのも嬉しいポイントですね。

完食

完食とは出されたラーメンをスープまで残さず食べきること。

スープを一滴も残さずラーメンを食べきること完食と言います。ラーメンに限らず、料理を残さず食べ終えるということが完食の定義になっています。辞書のような定義で表現すると、対象とする食べ物について目標の量や種類を完全に食べきることといった言い回しになります。ちなみに、完食は英語ではateが使われます。eatの過去形ですね。

完食出典:フォト蔵

完食というキーワードは、大量の料理を食べきる速度を競う大食いのバラエティ番組(テレビチャンピオンなど)から普及し始めたと言われていますが、最初はネットで誰かが言い出して普及し始めた言葉なんじゃないでしょうか?
完食という言い方が普及し始めたのは調べたところ1995年ごろからですから、ネット創世記の時代と被っています。当時は「完食」という言葉は存在しなかったはずで、ネットの掲示板で使われたことをキッカケに徐々に広がっていったのだと思います。

もともと完食の「完」は、動作を表す言葉の前につけて使う漢字で、既存の熟語である完走、完泳、完納、完済も完+動作という構造で作られています。完食という造語も、これらの既存熟語と同じ構造だったので、違和感なく普及していったのでしょうね。

なお、完食というワードが人口に膾炙した背景には、やはりTVの影響が欠かせません。TV局が安価に製作でき、視聴率も高い「食」の番組を増やしてきたので、TVでよく出てくる言葉として広がっていったのだと思われます。

今では完食の使われ方にも幅が出ている

「小中学校で教員に給食の完食を指導されたことがきっかけで不登校や体調不良になった」というような文脈、つまり、教師に無理やり給食を完食させられて体調を崩したようなシーンで完食というキーワードが使われるケースが見られます。


出典:ゆーたdailly

また、完食の美学のようにブログ名にも使われたり、ご飯つくりすぎ子と完食系男子のようにマンガ名にも使われたり、かなり日常用語として浸透してきていますね。
本来の使われ方とはやや異なる気もしますが、それだけ一般用語として定着していることの証でもあるんでしょうね。