セメント系ラーメン

セメント系ラーメンとは煮干しを粉砕した粉を鶏白湯のスープに入れた超濃厚な煮干しラーメンのこと。

2011年頃からラーメン界で話題になり始めたのが、やや黄味がかった灰色スープが特徴のセメント系の濃厚煮干しラーメン。見た目も、食感も、どことなくセメントっぽいので、セメント系ラーメンと呼ばれていますが、あまりにも濃厚なので極濃または濃密の煮干し系ラーメンと言われることもあります。

セメント系ラーメンの先駆け。今でも最高峰とされる中華ソバ伊吹
出典:ラーメン一期一会

セメント系煮干しラーメンの製法

セメント系の濃厚煮干しラーメンは、従来の煮干しラーメンとは作り方からして全く違います。
従来の煮干しラーメンは、煮干しで出汁を取る作り方、つまり低温のお湯で煮干しの旨味を抽出する方法でスープを取っていました。このやり方だとどんなに濃厚に出汁を取ったとしても、出汁(水溶液)には煮干しの旨み成分を受け入れる限界値があるので煮干し味の濃さにも限界があります。

それに対して、セメント系の極濃煮干しラーメンは、煮干しを丸ごと細かく粉砕したパウダー(粉)を直接、鶏白湯のスープに混ぜて作りますので、煮干し味の濃さは出汁(水溶液)よりも上限値が高くなるのです。ひたすら煮干し味が濃くできます。

さて、セメント系ラーメンの煮干し味とザラザラ感は煮干パウダー(粉)が担いますが、セメントのようなドロドロした粘度は鶏白湯のスープが担ってます。セメント系の鶏白湯スープはとにかく濃厚なので、ザラザラした煮干し粉を包み込んでジャヤリジャリした粉の口当たりを抑える効果があります。さらに、鶏白湯のまろやかな動物系の風味もラーメンのスープとして美味しく飲める役割を担っています。

セメント系ラーメンはニボニボ感が強い

セメント系の極濃煮干しスープは、出汁を取った煮干しスープと違って、煮干しをそのまま粉砕しているので煮干しの風味・苦味が直接、口中に入ってきます。
さらに、味覚だけでなく食感も強力で、煮干しパウダーのザラザラ感まで口中に入ってきます。
このように「煮干しそのままの苦味」+「煮干しパウダーのザラザラ感」がセメント系ラーメンの特徴戸言えます。ニボニボ感が強い、ニボニボ苦味のラーメンとも形容されることもありますが、言いえて妙の表現だと思います。

セメント系ラーメンを出す店

中華ソバ伊吹

中華ソバ伊吹出典:食楽web

セメント系ラーメンのパイオニアで、今なおセメント系を牽引し続けているのが板橋区の志村坂上にある中華ソバ伊吹。濃厚煮干セメント系ラーメンの王者だと思います。伊吹の煮干スープの濃厚さは尋常ではないレベル。原価率を考えているのか、考えていないのか、とにかく大量の煮干し粉をスープに投入しています。伊吹の煮干しスープは強力にドロドロで黄みがかった灰色。まさにセメントが想起されるたたずまい。食べた後は煮干しの濃さが強く印象に残ります。

いのうえ

いのうえ出典:ただ麺が食べたいだけなんだ

セメント系ながら煮干しパウダーのザラザラ感をほとんど感じさせない丁寧な作り。洗練されたセメント系ラーメンなのが川崎市の尻手のいのうえです。ここはパウダー状の煮干しを目の細かい網で3度も漉しているので、ほとんど煮干し粉のザラザラ感が感じられません。セメント系の粉っぽさ・ザラザラ感は豪快な味わいとも言えますが、正直、不快に感じることがないわけではありません。その点、いのうえは目の細かい網で3度も漉しているので、口の中で不快に感じるレベルの煮干し粉はすべて除去されています。

亀戸煮干中華蕎麦 つきひ

亀戸煮干中華蕎麦 つきひ
出典:ラーメン官僚かずあっきぃの麺遊記

新進気鋭のセメント系。亀戸にあります。スープは煮干しの風味が香ばしい超濃厚タイプ。濃厚に仕上げた鶏白湯が煮干粉の強い風味と塩味をまとめています。エグミ・苦み・塩味のバランスがよく、癖がないスープなのでセメント系ラーメンとしては飲みやすい仕上がりになっています。鶏白湯の粘度、煮干し粉の量もセメント系の中ではかなり多いタイプだと思います。

中華そば いづる

出典:ラーメン食べて詠います

芝大門にある中華そば いづるは、いくつかあるメニューのうち、濃厚煮干しそばがセメント系です。鶏白湯と煮干し粉を組み合わせるセメント系の定番製法ですが、煮干しはイワシ煮干しだけでなく、イカ煮干しも大量に使っているのが特徴。イワシ+イカなので味わいに奥行があります。その上で、イワシ煮干しの濃さだけでも伊吹に匹敵するか、それ以上の超濃厚さがウリ。セメント色スープは灰色ではなく青魚のような深緑色に近く、いかに濃厚なのかわかります。

ここで紹介した以外にも、セメント系ラーメンを出す店は全国レベルでどんどん増えています。メインとなる材料は煮干しと鶏ガラで、手に入りにくい特別な素材を使うわけではないので参入障壁は低いと思います。新ジャンルのラーメンとして、これからますます勢力を拡大していくことが予想されますね。

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