かえし(返し)

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かえし(返し)とは煮かえしの略語でスープで割る前のタレのこと。

ラーメンの本・ブログ等を読んでいると、かえしという言葉が出てくることがあります。日常生活では滅多に使わないキーワードなので「何これ?」と思われる方も多いかもしれませんが、ラーメンでかえしという場合、ほぼ醤油ダレを意味します。

タレ専用のホーローの容器に入れられたかえしかえし
出典:CooNelNel

本来は「かえし」は蕎麦用語

かえしとは「煮かえし」という言葉の後側だけ使ったもので、もともとは蕎麦業界で使われている専門用語です。簡単に言えば蕎麦つゆのタレのことです。このかえしを出汁で割ったスープが蕎麦汁になります。ラーメンもタレをスープで割って作るので、スープで割る前のベースとなるタレのことをカエシと呼ぶわけです。

    • かえし+出汁=蕎麦つゆ
    • かえし+スープ=ラーメンのスープ

今では、蕎麦とラーメンのかえしは別々のものになっていることが多くなっていますが、ラーメンが登場した時代は、蕎麦もラーメンも同じかえしを使っていたケースが多かったと考えられます。同じものだからこそ、蕎麦のタレ、ラーメンのタレ、どちらも「かえし」と呼んでいたと考えられています。

実際、蕎麦・ラーメンとも長い歴史がある山形では、蕎麦で使っているかえしに、ラーメンの鶏ガラスープを注いで仕上げた「鶏中華」というラーメンが今でも残っています。
また、歴史ある商店街にはラーメンが食べられる蕎麦屋が残っていることがありますが、今でも蕎麦屋で食べられるラーメンでは、蕎麦のかえしにラーメンのスープを注いで作っていることが多いようです。
かえしは、蕎麦屋のあらゆるメニューに使われる万能タレなので、ラーメンに使うことは当然の発想だったのでしょうね。

また、ラーメンの神様と言われた山岸一雄さんも、蕎麦で有名な長野県の出身なのですが、山岸さんが発明したつけ麺も「冷たい麺をかえしを薄めて酢を入れたタレにつけて食べる麺料理」ということで、まさにざる蕎麦と同じ発想で作られたラーメンですね。このように、かえしは元々は蕎麦のレシピからラーメンに受け継がれたものなのです。

ラーメンならではかえしの作り方

基本的なかえしは、醤油+砂糖+みりんを混ぜたものに火を入れて作ります。
家庭で作るなら醤油400ミリリットル、本みりん40-80ミリリットル、砂糖50-80gが適量だと思います。以下の手順で作れます。
1)鍋に醤油を入れて、中火で温める。煮立たせてるのは絶対にNG。
2)アクのような膜が鍋の上に広がってきたら砂糖を入れる。
3)砂糖が溶けたら鍋にみりんを入れてかき混ぜる。
4)弱火にして表面がアクのような膜で覆われてきたら火を止める

ただし、蕎麦とラーメンでは「素材に豚を使うかどうか」が大きな違いになっています。かえしに限らず、蕎麦を使う料理で豚を使うケースは滅多にありませんが、コクを求めるラーメンの場合、豚の使用は非常に重要です。
そのため、昔はチャーシュー(煮豚)の煮汁を煮詰めたものをタレ(かえし)として使う店が非常に多かったのです。一昔前のラーメンのレシピ本を読むとタレ(かえし)はチャーシューの煮汁で作ると書いてあるケースがほとんどです。

チャーシューは、醤油+砂糖+みりんを混ぜたかえしで煮るので、できあがったラーメン用のかえしには豚エキスと脂が入っていて、コクが強くなっています。

もちろん、現在はラーメンの美味しさを追求するため、かえしを専用工程で作る店が増え、製法も店ごとに違うものになってきています。また、ラーメンの場合、カエシに頼らず、香味油で風味を増すことも増えています。それでも、今もなお、ラーメンの味のコントラーはかえしです。返しの重要性は根強く残っています。

今のラーメンのかえしは醤油ベース以外もある

ラーメンは蕎麦と違って伝統にとらわれずに作られるため、タレのバリエーションも醤油以外にも拡大しています。
味噌ラーメン、塩ラーメンも、ラーメンの重要なメニューになっています。そのため、今では、味噌ラーメンのタレ、塩ラーメンのタレなども含めた、タレ全体の総称としてもかえしという言葉が使われることもあります。

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